プロローグ (1) (2)

第一章 人生の終わり
(1)2013年2月25日 早朝
(2)夢の中で・・・
(3)朝起きると死んでいました。
(4)死神?
(5)死んでも死なない?
(6)葬式の日
(7)生まれ変わっても一緒になりましょう

第二章 本当の終活
(1)神様って本当にいるの?
(2)運命の地図
3)生まれる前に決めてきたこと
(4)運命の地図が教えてくれること
(5)自分の最期を選択する

 

第二章 本当の終活

6 地図を移行するチャンス

 

「はい。着きましたよ。」

 感謝と愛に浸っている私などお構いなしに、

レイは私を一瞬であの日に連れていった。

若かりし頃の私は、ちょうど家を出て、ゆっくりとバス停に向かっていた。

田舎だったので、バスは1時間に一本。

乗り遅れると次のバスは1時間後だったため、

彼女は毎日早めに家を出て、ゆっくり歩いてバス停に向かった。

この日もそうだった。

 

彼女はまだ、忘れ物に気づいていないようだ。

ちょうど家とバス停の真ん中まで来た時、忘れ物に気がついた。

それは、朝、自分で作った弁当だった。

いつもは忘れないのに、なぜこの日に限って忘れてしまったのだろう?

忘れ物に気づいた彼女は迷っていた。

とてもじゃないけれど、忙しくて昼食を食べに外出したり、

買い物に行ったりできるような職場ではなかった。

いつも、隙間時間を見つけて、かきこむ様にお弁当を食べて

すぐに業務に戻る、そんな毎日だった。

 

「どうしよう・・・。お弁当がないと昼食抜きだよな。

でも、取りに戻っていたら間に合わないよね。

もう、今日はお昼を諦めるしかないか・・・。」

彼女はそう決めて、バス停に向かおうとした。

「大丈夫! 走れば、絶対間に合うって。

お昼抜きで仕事しても、絶対午後から頭が働かないよ。

少し早めに出たんだし、今から戻れば、絶対間に合うから。」

 

私は、一生懸命自分に語りかけていた。

彼女からしたら、これは確実に悪魔の囁きだった。

バスに乗り遅れるなんて、仕事に遅刻するっていうことだし、

それは絶対に絶対に許されないことだと彼女は信じていたから。

だけど、絶対間に合う! 走れ! という心の声に彼女は逆らうことができなかった。

彼女は、ダッシュで家に戻り、弁当を手にした。

 

「念のため、ちょっとだけ足止めしときましょう。」

レイがいたずらっぽく笑って、また、パチンと指を鳴らした。

すると、奥から母が出てきて彼女を呼び止めたのだ。

そう! 思い出した!!

このとき、バスに乗り遅れそう!!ってすごく急いでいるのに、

そんなのおかまいなしにマイペースな母が、帰りの予定を聞いてきたのだ。

急いでいた私は、イライラしながら受け答えして、

話の途中で家を飛び出した。

「遅れるから、行くね!」

 

ちょっとした時間のロス。私は、一生懸命走った・・・。

だけど、無情にも、走る私の横をバスが通り過ぎて行ったのだ。血の気が引いた・・・。

これでは、仕事に間に合わない。どうしよう。

家に戻って、父に送ってもらおうとも考えたけれど、

そんなこと言ったら雷が落ちそうで怖かった。

 

途方にくれて、どうしようかと考えているところに、クラクションが鳴って一台の車が停まったのだ。

それが夫だった。

中学校の部活の先輩だったから、顔見知りだったこともあって

それで車に乗せてもらって、なんとか仕事には間に合った。

バスに遅れた時は、なんてツイテないんだ!って泣きそうだったけど、

車に乗せてもらって職場に着くまで話していると楽しくて、

職場に着く頃にはバスに乗り遅れたことに感謝していた。

この日朝一のツイテないことがラッキーなことへと変わっていた。

この出来事が、地図を移行する出来事だったなんて不思議な感じ。

 

「こんなついてない出来事が、実は自分で選んだ幸せな人生へとシフトするチャンスだったなんて・・・。

何かがうまくいかないと、起きるとつい自分を責めちゃったり、

人を責めちゃったりしちゃうけど、

一番幸せな人生へ移行するチャンスだって思えば、それって、ラッキーな出来事になるんだね。」

「そうなんです。ツイテない出来事だけじゃなくて、

失敗したり、間違えたり、迷子になったり、何かを失って失意のどん底に落ちてしまったり、

そういう時も、実は、未来の自分が選んだ一番幸せな運命の地図に移行するチャンスなんです。

その時は、思い通りにならなくて落ち込むかもしれないけれど、

それもぼくたちから見たら予定どおりなわけ。

全てはパーフェクトなんですよ。」