命の約束 第五章 命の約束(3)悲しみの中で

スピリットファースト

プロローグ (1) (2)

第一章 人生の終わり
(1)2013年2月25日 早朝
(2)夢の中で・・・
(3)朝起きると死んでいました。
(4)死神?
(5)死んでも死なない?
(6)葬式の日
(7)生まれ変わっても一緒になりましょう

第二章 本当の終活
(1)神様って本当にいるの?
(2)運命の地図
3)生まれる前に決めてきたこと
(4)運命の地図が教えてくれること
(5)自分の最期を選択する
(6)地図を移行するチャンス
(7)愛の奇跡

第三章 戦いの終わり
(1)憎しみを引き受けてくれた人
(2)傷だらけの木
(3)癒された木
(4)真っ暗闇に落ちて

第四章 神様の正体
(1)神様がいる場所
(2)神様との対面
(3)人生の目的
(4)私という存在の正体
(5)新しい始まり

第五章 命の約束
(1)無言の帰宅
(2)最後の別れ

第五章 命の約束

3 悲しみの中で

葬儀が終わり、初七日も終わると、いよいよ母のいない日常が始まった。

認知症が進む祖母は、デイケアへ行きたくないとたびたび父を困らせた。

父は、これまで母に任せっきりだった実母の世話を全て自分で担うこととなった。

 

定年後も再雇用で働いていた父は、仕事と家事と介護の日々を送ることになった。

私もできる限り実家に帰って手伝ったが、

7日ごとの法要も重なって、毎日が目まぐるしく、みんなその日を暮らすので精一杯だった。

 

そんな毎日だったので、父も私も妹も、葬式以来涙を見せることはなかった。

多分、それぞれがぐっと堪えていたのだと思う。

私は、よく一人で泣いた。急に悲しみが襲ってくるのだ。

 

母とは、正直家族で一番折り合いが悪かったと思う。

いつも心配をかけていたし、その心配が信頼されていないからだと思って私はすごく嫌だった。

 

母とは、分かり合えない。

 

ずっとそう思っていたのに、母がいなくなると自分でもびっくりするくらい寂しくて泣いている自分がいた。

あんなに分かり合えなかった母なのに、まるで着ぐるみを脱いで天国に行ったかのように、

ふと感じる母は、別人のように優しかった。

まるで、すべてを許して、全力で応援してくれているような、愛しか感じない存在になっていた。

もしかしたら、その母こそが本来の母だったのかもしれない。

厳しい母や心配性の母というのは、母のこれまでの人生の中で作られてきたもので、

それで分かり合えずにぶつかっていたけれど、

本当の母というのは、今感じている愛しか感じない存在だったのかもしれないと思った。

 

そして、私はそんな母の存在を感じて、やっと自分の本当の気持ちに気づいたのだ。

 

私が、母に自分のことをわかって欲しかったのは、母のことが好きだったからだ。

私が、母に心配して欲しくなかったのは、私を信じて欲しかったからだ。それは、やっぱり母が大好きだったから。

 

結局私は、自分が思っている以上に、いや想像もできないほどに母を愛していたのだ。

自分がどれほど母を愛していたのか、母が死ぬまで気づかなかった。

だから、それを母に伝えることもできなかった。

悲しみと共に、後悔や苛立ちも溢れてきて、それで涙が止まらなかったのだ。

 

きっと、父も妹もそれぞれに苦しいと思う。

父は父で、同じ布団に寝ていたのに、母の異変に気付けなかったことを悔いていた。

妹は、最後の夜、部屋のドアを開けて「おやすみ」と言った母の顔を見なかったことを悔やんでいた。

 

私はこの時悟った。

 

神様は、明日が来るなんて約束してくれていない。

だとしたら、伝えておきたいことはちゃんと伝えておかないと、

もう2度と伝えることができなくなるのだと。

 

「ありがとう」

「ごめんね」

「大好き」

「愛してる」

「生まれ変わってもまた、一緒になりましょう」

 

そんな簡単な言葉ほど、私たちは伝えることを躊躇っている。

それで、突然の別れが来て後から後悔するのだ。

 

母は、一番大切な言葉をちゃんと父に伝えていた。きっと悔いはないだろう。

 

大切な人の死というのは、残された者の中にたくさんの「悔い」を生む。

その悔いは、時に大暴れして心を傷だらけにしてしまう。

悔いても仕方がないのに、どんなに自分を責めても、もう愛する人は帰ってこないのに、

心の奥で自分を責めて、いてもたってもいられなくするのだ。

そんな自分を許すのに、一体どれだけの時間が必要なのだろうか。

 

心を締め付けるたくさんの悔いから、自分を救い出し、

自分を許して未来へと踏み出すまでにしばらくかかるのは、仕方のないこと。

 

私たちは、それぞれ自分と向き合い、自分でそれを乗り越えていかなければならなかった。

どんなに悲しくても、どんなに苦しくても、どんなに自分に腹が立っても、どんなに寂しくても・・・

それでもみんな、前に進むしかなかった。

 

メンタル・ライフコーチ 大津 真美

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長崎大学教育学部小学校教員養成課程(教育心理学専攻)卒業後、福岡県久留米市内の精神科病院にて心理士として一年半勤務。その後、セラピストとして10年活動しイン...

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