命の約束ー第1章 人生の終わり

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第1章 人生の終わり

2013年2月25日 早朝

 

ガサガサ・・・ ドンドンドンドン・・・

 

ベットが軋み、隣で寝ていた夫が起き上がってドタドタと階段を降りていった。

どうやらトイレに行ったらしい。

60も過ぎると夜中に必ず一度はトイレに起きてしまう。私もいつもそう。

同じベッドに寝ていると、こういう時にどうしても目が覚めてしまう。

いつもは私も後に続くのだけれど今日は不思議と行きたいと思わなかった。

今、何時だろう? 真夜中か、明け方か・・・。

すごく眠かった私は、そのままベッドの中でうとうとしていた。

きっと起きるにはまだ早いはず。どうせ夫も戻ってきて二度寝するだろう。

もう少し寝よう・・・。

トイレに起きた夫を無視して、私はベッドの中で丸まった。

 

しばらくすると夫がトイレから帰ってきた。

ベッドに戻ろうとした夫は、ベッドを占領していた私の手を取るなり、急に大声で叫び出した。

 

「おい!おい! お母さん! お母さん!!」

 

寝ていた私はびっくりした。あまりに大きな声だったから。

 

「何?突然! 今何時? 外はまだ暗いし、私はまだもうちょっと寝たいのに!」

 

眠い目を擦りながら、布団の中から夫を見て声をかけたが、

夫は私を無視して何か叫びながら大慌てで部屋を出て行った。

 

「もう!なんなのよ! 人を大声で起こしといて!」

私はイラっとしたが、夫の様子が尋常じゃなかったので心配になって、

夫の後を追って急いでベッドから立ち上がった。

するとすぐに、隣の部屋で寝ていた次女が、慌てて部屋に入ってきた。

 

「お母さん?!」

次女が、大声で私を呼んだので、私もびっくりして

「どうした?」

そう言って近づこうとすると、次女は私を通り抜けてベッドへ駆け寄っていった。

 

「え?」

 

振り向くと、ベッドには私の体が横たわったままになっている。

次女は泣きながら、私を呼び、体を揺する。

 

「お母さん! お母さん!」

 

何度も何度も私を呼びながら、次女は泣きじゃくっていた。

夫はすぐに救急へ連絡したが、救急車を待ちきれないようでオロオロしている。

二人はしばらく、動かなくなった私を何度も何度も呼び続けた。

私も何度も何度も大きな声で返事をしたが、二人には全く声が届かない。

しばらくすると、次女は携帯を取り嫁いで家を出ている長女へ連絡した。

「お母さんが、布団の中で冷たくなってる。

息もしてないし、動かないし、もう冷たくなってる。

たぶん、もうダメだと思う。」

泣きじゃくりながら、絞り出す次女のその言葉を聞いて、

私は、絶望のあまり気が狂いそうになった。

 

私は何度も何度も二人に向かって一生懸命叫んだ。

 

「私は、ここにいるよ! ちゃんと生きてるよ! 死んでないよ!」

大きな声でそう叫んでも、二人に声は届かない。

二人も混乱していたけれど、私はもっと混乱していた。

 

何?どういうこと?

私は、ここに居るのに。なぜ体がそこに?

私が死んでるって???

いやいやいやいや、それはないでしょう。

だって、こんなに意識ははっきりしているし、ちゃんと足もあるし、歩けるし。

 

そうだ、きっとこれは夢だ。悪い夢を見てるんだ。

もう一度目を閉じて朝が来るまで待っていたら、きっと悪い夢も覚めているはずだ。

朝起きたら、この悪夢を朝食を食べながら、みんなで笑っているに違いない。

 

私は、この悪夢が覚めることを祈りながら、

「落ち着け、落ち着け。」

そう自分に言い聞かせ、大きく深呼吸して目を閉じた。

 

 

メンタル・ライフコーチ 大津 真美

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長崎大学教育学部小学校教員養成課程(教育心理学専攻)卒業後、福岡県久留米市内の精神科病院にて心理士として一年半勤務。その後、セラピストとして10年活動しイン...

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